【倒立振子part26】モータのモデルの見直し

前回から倒立振子のモデルの見直しを行った。
今回はまだモータが届かないので、先にモータのモデルの見直しと今後の方針を整理していく。

モータのモデル化

基本的にはpart3で使用した理論を元に見直していく。

使用する理論は下記の電気的特性と機械的特性である。
モータの電気的特性

\begin{cases} 
\displaystyle{v_a(t)=L\frac{di_a(t)}{dt}+Ri_a(t)+e_b(t)}\\
\displaystyle{e_b(t)=k_b\omega_m(t)}\\
\displaystyle{\tau_m(t)=k_ti_a(t)}
\end{cases}

モータの回転運動を元にした機械的特性
J_m\dot\omega_m(t)=\tau_m(t)-\tau_L(t)-D\omega_m(t)

v_a(t):電機子電圧     i_a(t):電機子電流
R:電機子抵抗       L:電機子インダクタンス
e_b(t):逆起電力        k_b:逆起電力定数
\tau_m(t):発生トルク                 \tau_L:負荷トルク
\omega_m(t):モータの角速度
J_m:モータの慣性モーメント
D:モータの粘性摩擦抵抗項
k_t:トルク定数


上式を少し整理すると

\begin{cases} 
\displaystyle{v_a(t)=L\frac{di_a(t)}{dt}+Ri_a(t)+k_b\omega_m(t)}\\
\displaystyle{\tau_m(t)=k_ti_a(t)}\\
\displaystyle{J_m\dot\omega_m(t)=\tau_m(t)-\tau_L(t)-D\omega_m(t)}
\end{cases}
シャフトにロータをつけていないときとつけたときについて分けて考えてみる。

無負荷状態

上式を時間変化関数からラプラス変換すると下記の様になる。(初期状態は0とする)

\begin{cases} 
\displaystyle{V_a(s)=sLI_a(s)+RI_a(s)+k_b\Omega_m(s)}\\
\displaystyle{T_m(s)=k_tI_a(s)}\\
\displaystyle{sJ_m\Omega_m(s)=T_m(s)-T_L(s)-D\Omega_m(s)}
\end{cases}

よって電流項に代入すると
\displaystyle{
V_a(s)=\frac{T_m(s)}{k_t}(sL+R)+k_b\Omega_m(s)
}

ここで無負荷の時はT_L(s)=0となるので
\displaystyle{
T_m(s)=(sJ_m+D)\Omega_m(s)
}

上式をまとめることでV_a(s)\Omega(s)の式に変形できる。
モータの粘性摩擦抵抗項Dについては小さいため無視すると、伝達関数G_m(s)
\displaystyle{
G_m(s)=\frac{\Omega_m(s)}{V_a(s)}=\frac{k_t}{s^2J_mL+sJ_mR+k_ek_t}
}

前回も記載したがここでインダクタンス成分Lを無視できるかどうかをシステム同定によって求める。

ロータ装着時

ロータ装着時はシャフトに固定するのでロータとモータを一つの剛体として考えると、
自由回転するので\tau_L=0として計算できる。
この時ロータの慣性モーメントをJ_rとすると機械的特性は
\displaystyle{(J_m+J_r)\dot\omega_m(t)=\tau_m(t)-D\omega_m(t)}
※前回はここがおかしかった(\tau_L\tau_\omegaとしていた)

となる。(慣性モーメント部分を変更しただけ)
よって無負荷時と同じように計算すると伝達関数
\displaystyle{
G_r(s)=\frac{\Omega_r(s)}{V_a(s)}=\frac{k_t}{s^2(J_m+J_r)L+s(J_m+J_r)R+k_ek_t}
}


取り消し線部の修正
上では\tau_L\tau_\omegaとしていたことが間違っていた的なことを書いていたが過去の自分の方が正しかった。
ロータ装着したモータ単体の評価では\tau_\omega=0として考えても良いが、
前回導出したラグランジュの運動方程式では\tau_\omegaは外力扱いであり\tau_L=\tau_\omegaとしてラグランジュの運動方程式に代入する必要がある。
つまり
\tau_\omega=\tau_L=\tau_m-(J_m+J_r)\dot\omega_m-D\omega

今後することの流れ

①無負荷状態でのシステム同定を行い伝達関数を導出してインダクタンス成分が無視できるか判断する。
②ロータ装着状態でシステム同定を行い不明な物理パラメータを求める。
③状態空間モデルの導出。
④振子系(安定系)でのシステム同定
ただし④のシステム同定については③まででパラメータがすべて求まっているので比較試験として行う。

次回

モータの無負荷状態でのシステム同定を行うための知識の整理とプログラムの準備を行う。
システム同定難しすぎんよ。。。