【倒立振子part19】DCモータのパラメータ同定の見直し②+シュミレーション

前回は逆起電力定数とトルク定数を求め直したがほぼ同等であることが判明した。
内部抵抗については記載されている定格で求めたがPWMのDuty比が100%とは限らないのではないかと思い内部抵抗を見直す。

求め方

モータの軸に何もついてない状態の無負荷回転についての運動モデルは
\displaystyle{J_m\dot\omega+\left(\mu_m+\frac{k_ek_t}{R}\right)\omega=\frac{k_t}{R}V_{in}}
この式を簡略化すると
\dot\omega+a\omega=bV_{in}
となる。
ステップ応答試験を実施し最小二乗法にてa,bを求めることができる。

次にモータの軸に慣性ロータをつけた状態の無負荷回転についての運動モデルは
\displaystyle{(J_m+J_r)\dot\omega+\left(\mu_r+\mu_m+\frac{k_ek_t}{R}\right)\omega=\frac{k_t}{R}V_{in}}
この式を簡略化すると
\dot\omega+\alpha\omega=\beta{V_{in}}
ステップ応答試験を実施し最小二乗法にてa,bを求めることができる。

ここで上の2式の置き換えした変数は下記の様に変形可能でありモータの慣性モーメントが求められる。
\displaystyle{b=\frac{\frac{k_t}{R}}{J_m}} , \displaystyle{\beta=\frac{\frac{k_t}{R}}{J_m+J_r}}  ⇒  \displaystyle{J_m=\frac{\beta}{b-\beta}J_r}

J_mが求まることでモータの内部抵抗は下記で求めることができる。
\displaystyle{R=\frac{k_t}{bJ_m}}

フライホイール(慣性ロータ)の慣性モーメント

上記の式を利用するにあたりフライホイール(慣性ロータ)の慣性モーメントJ_rについてはFusion360で簡易モデルを使用することで回転軸周りの慣性モーメントを求めることができる。

以上より回転軸周りのフライホイール(慣性ロータ)の慣性モーメントは
J_r=43562.212{g mm^2} ⇒ 4.3562\times10^{-5}{kgm^2}

計測

安定化電源を20Vとしてduty比を100%,90%,80%,70%,60%,50%として測定をした。
漸近安定する回転数は単位ステップ入力に変換したときに同じ回転数になったが立ち上がり時間がduty比が下がる連れて時間が長くなることが判明した。
(これはブラシ付きとは違うところであったが多分内部回路に起因していると思うがよく分からなかった。。。)
立ち上がり時間の差によりa,b,\alpha,\betaはduty比毎に異なった値となった。
そのためモータの慣性モーメントJ_mとモータ抵抗は平均値を算出する。
J_m=1.2483\times10^{-5}{kgm^2} , R=2.6719{Ω}
また粘性摩擦抵抗については下記の通りである。
\displaystyle{\mu_r+\mu_m+\frac{k_tk_e}{R}=5.24425\times10^{-4}}

シュミレーション

以前と同様の条件での最適制御でのシュミレーションを回してみた結果、入力が24V以下となり実測が可能であると判断できた。

応答速度ついては少し遅くなっているが収束しているため倒立はできそうであると判断する。

次回

実装のために離散時間での制御についての勉強をしてシュミレーションとプログラムへ実装していく。